駐車場を科学する⑱ リパークを例にとって

前回、ドクターリパークについて書きましたが、ここで、駐車場を『科学する』ことに触れさせて下さい。

駐車場事業を企画しているとき、常に胸に去来していたことは、次の2点です。
1、今までないスキームを創造し、社会のインフラを作る
2、そのためには、ヤマ勘や夢想を廃し、科学的な方法を執る

1、は三井不動産グループのお家芸で、我が総帥、枝村社長の口癖でもありました。私も、これからも事あるごとに口にするでしょう。

ただ、ここでは、「科学的な方法」に関する2、について書きます。
では、(駐車場を)科学する、とは如何なることか。
恥ずかしながら、私見を述べさせていただきます。

①先ず、対象(現象)を観察します。
対象、現象を、見て、観て、看尽くすことから始めます。
トヨタ生産方式の原則の一つとして有名な、5W1Hがあります。この5Wとは、Why?Why?Why?Why?Why?とWhy?を5回繰り返し、最後にHowを行う、という考え方で、私も常に仕事に応用しています。疑問を抱き、更に疑問を考え、5回繰り返し、初めて改善策を考えて良い、という縛りで、安易な弥縫策を考えることを厳しく禁じています。私などは、すぐに、「ああすれば良いじゃないの」とか言ってしまって、冷や汗をかきます。
ただ、私見によるとこのWhy?の前に矢張り、Watchを5回繰り返し、観察を重ね、現状を把握するべきだと考えています。
WatchWatchWatchWatchWatch!ですね。

②次いで、隠された「構造」を発見します。
どんな現象も、見える部分の下に隠された体系的な構造が潜んでいます。今は目には見えないけれど、その多くは歴史的に潜んできて、また、一見すると関係ない領域に影響され、繋がりながら、ある構造体をなしています。
この構造が明らかになると、現実との矛盾、歪みの原因が分かってくるので、その対応策を立案することが出来ます。
この「構造」という概念は、ちょっと分かり辛いかもしれません。どうみても「構造主義」に影響されてますね。済みません。追々、実例で示していきたいと思います。
③最後に、どうしたら良いかの、対応策を立案します。
上記のように、効果的な案を考えることは大変ですが、いずれ失敗に終わるのですから(状況が変化するので、絶対に失敗するわけです。)、何故、この案にしたか、という具体的な根拠を示しておくことが必要です。失敗した時、何故かの判断の重要な基準になるからです。
④そしてこれを実行します。
あとは実施結果を観察し、構造を発見し、立案し、実行する、この繰り返しを行っていくことになります。

大袈裟な書き方をしましたが、お気付きの通り、所謂、PDSサイクルを回す、ということ同じです。
*因みに、PDSサイクルとはPDCAサイクルと言われているものの原型と言われるが、これも私見によるとPDCA自己完結型で、次のサイクルを形成し得ないと思われる。
そのサイクルに留まるため、ダイナミズムに欠け、実用性にも欠ける。
また、サイクルは観察(See)から始まる、と指摘する論者もおり、全く同感である。
(杉浦 司 http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0405/18/news072.html

なお、当然ですが最初の観察は、対象となる現象の観察、次回からの観察は実施した結果の観察となります。
観察に重点を置いているのがお分かりだと思います。では、この観察をどのように行うか。私も、まだ未熟でその手法をよく会得していません。ただ、観察をビジネスに結び付けるには、「計測」という手法が必要になるでしょう。
次回は、この計測を。