駐車場を科学する⑲ リパークを例にとって

計測する、ということは、不動産業では余りありません。確かに土地の広さだったり、駅からの距離だったり、測ることが必要なことは多々ありますが、いずれも静的で其れほど難しい作業ではありません。では、何故私が計測にこだわるようになったか、というと、若い頃の刺激によるのだと思います。

昔、半世紀も前の話ですが、戸部秀という方が書かれた「仰ぎ見る大樹」という本を読んだことがあります。杉 亨二という人の伝記で、この方は「日本近代統計の祖」と言われる方です。日本が明治維新で開国を迎えたとき、一国の盛衰は、統計にあり、との信念の下、我が国の産業分野、人口等の統計の確立に努力された方です。
本を読んでいても、登場人物は多いし、維新のこともよく分かっていなかったので、えらい難しい本を選んでしまったなあ、と後悔しながら、読んだ記憶があります。
ただ、読了後、普段は意識しないけれど、統計、その基になる調査って重要なんだなあ、と思った記憶があります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%89%E4%BA%A8%E4%BA%8C

順序は覚えていませんが、矢張りその頃、ミツトヨグループの創業者、沼田 恵範の記事を読みました。この方は、よくホテルの引き出しに入っている「仏教聖典」を配り始めた方です。後年、私の会社の同僚がお坊さんになり、食えないので「仏教伝道協会」に雇ってもらってホテルを巡っているんだ、と話していました。沼田さんはお寺の子で、仏の教えを広めたいのだが資金が無い、それならいっそ事業を興そうと、ミツトヨを創業しました。このミツトヨは、マイクロメータなどの精密計測器を作っている会社です。何しろ心がけが良いので安心してお付き合いが出来る素晴らしい会社で業績も良いようです。
では、沼田さんは何故、精密計測器を作り出したか、それは、科学技術の進歩は計測技術に依る、との教えに啓示を受けたからだ、と述べておられました。
華々しい科学上の発見、精妙な技術の進歩、その基礎には計測技術があったのですね。

https://www.mitutoyo.co.jp/

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BC%E7%94%B0%E6%81%B5%E7%AF%84 

片や国の政策、片や科学技術、側面は違いますが、これらの本で「測る」ということの重要性を学びました。

後年、サラリーマン生活を送るのですが、いつも、仕事のサイズとか対象の動きとか、測る、ということを重視してきました。私は数字に弱くそれが弱点なのですが、それでも常に物事を物量的に考えています。
測るということは、細かい数字の羅列ではなく、ロジックでもあるからです。
1+1=2という原理は、変わらず、それが1+2になれば=3になるからです。
測ることで、隠された構造に迫ることができるからです。