駐車場を科学する⑭ リパークを例にとって

規模も立地もバラバラな駐車場をどう管理するか?

前回述べたように、都市のインフラとしての駐車場は、立地も規模もバラバラです。
大きな駐車場だったら管理人を置く「有人管理」で良いですが、小規模だったらコスト的に無理です。大体、20台分ぐらいしかない駐車場に管理人さんに居て貰うスペースはありません。
もう、ここは「無人管理」しかないです。
また、駐車場という概念を考えると、複数の車両が駐停車するところを想定すると思いますが、よく考えてみると、1台のクルマが駐車する空間が駐車場なのであって、駐車場というのは元々、個々別々の1車室をいうのですね。
ということは、個々バラバラの管理が辛いというより、1車室毎に管理しなければならない、ということが課題だったわけです。

では、どうしよう。
そこで思い出したのが、病院などの駐車場に立っていたネギ坊主のようなメーターです。
ああ、あれは使えないか。
すぐに調べは付き、「日本信号」という一部上場の会社が作っていることが分かりました。
日本信号さんには、当時、私が勤務していた会社の役員室での、役員の在席状態を把握するシステムを作っていただいており、丁度良いんじゃないかなあ、などと考えていました。

そんな折り、ある夜、六本木はロアビルの横の道路を鳥居坂の方に歩いていくと夜目にも煌々と照らされている20車室規模の駐車場がありました。なんだろう。近くによって見てみると黄色に黒と赤のデザインでTIMESとありました。ええッ!もうあるじゃん!個別車室管理の駐車場が・・・。
だからお坊ちゃん育ちはダメだね。世の中の方々は、もっと早いんだよ、もっと色々やっているんだよ、と深く納得しました。
(もう他人が手掛けている事業なんか、やる意味がない、と一時は時間貸し駐車場事業を諦めました。それなのに何故始めたか、いつか書きたいと思います。新規事業を起業する際、起こりがちな問題ですから。)

そして、そこで使われていたのが、日本信号さんの機械だったのです。
早速、日本信号さんに連絡を取り、当方にも売っていただけないか、とご相談したところ、結構です、但し、TIMESさんを通じて買って下さい、というお返事でした。
これはちょっとまずい。

もう会社と会社のお付き合いで日本信号さんのシステムを購入しよと決めていたのですが、これではこちらの手の内がバレバレにバレてしまい、何かとやりにくくなります。
どうしようか。困った末に、ええい、新たなメーカーを探そう、と考えを変え、あるメーカーの製品を採用しました。駐車場の管理機器の話も面白く、やはりつまみ要らずでビールがガンガン進むのですが、これは話がズレ過ぎなので、今回は書きません。

日本信号さんの機械は丈夫で、作動も安定していました。私どもが採用した機械は夢に溢れていましたが、如何せん故障が多く、苦労させられた、と言うことです。
ここでも、当初、書きましたとおり、「技術」が新たな産業を産む、という一つの例証が出現した、ということですね。
何と言っても、技術、また実現する製品が、重要だと思います。