駐車場を科学する⑮ リパークを例にとって

前回、駐車場の管理機器の話を書いたら、図らずもタイムズさんのことに言及してしまいました。そのまま、更に機械のことを書きたいのですが、機械の話、駐車場の管理に対する考え方を述べると、どうしても何故「不動産屋」が駐車場の仕事をするのか、という問題に触れざるを得ません。何しろ一番手のタイムズさんは、不動産屋ではないですし、そのため機械とか駐車場管理に対する考え方が異なるからです。

世に言う不動産屋は、実に色々な仕事をしており、特に駐車場の仕事をしても不思議では無いかもしれません。ただ、その場合、駐車場と言ってもその多くは月極め駐車場であり、オーナー様の土地の管理の一環でした。我々も、オーナー様の名代としての不動産業者と交渉することも多々ありました。しかし、それだけでは、不動産業者が駐車場事業を起こすことの説明としては不足です。では、何故、リパークはわざわざ起業してまで時間貸し駐車場事業を始めたのか?

唐突で恐縮ですが、我が国の国土は約3,775万haあります。その内、我々宅地建物取引業者の仕事の対象となる宅地は、どれくらいあるか?
例えば昭和50年ですと、124万haであり、これは国土全体の3.3%になるようです。このとき道路はどうか?89万haで、2.4%でした。昭和60年は宅地150万ha、4.0%、道路107万ha、2.8%、平成13年になると宅地は180万ha、4.8%、道路128万ha、3.4%とのことです。
国土交通省「土地利用現況把握調査」のどっかのページを見て下さい。)

調査の度に増加しているとはいえ、「宅地」の少なさに唖然としてしまいます。それに引き換え、道路の占める面積の大きいこと。常に宅地に対し、70%以上の面積を占めます。
私の子供の頃、道路は常にクルマで溢れ、どこも渋滞していました。このままだと東京はクルマに征服されてしまう。また宅地建物業者になったら、しょっちゅう計画道路の問題に直面します。このままでは東京中が道路になってしまう。そんな感じを持っていました。そう、誰かが制御しなければ、東京中、クルマ様のものになってしまう。人間様が健康で文化的な生活をしようと思ったら、クルマ様に必要な空間を制御しなければいけない。それは誰だ。
クルマ自体は世界に冠たる自動車メーカーが製造します。それを走らせる道路は、建設省(当時)が作り且つ管理します。では、クルマを停めるところは?今までキーパーソンが居なかったのでは?と思いました。
なら、不動産業者がやろう、なにしろ駐車場は宅地の一部であり、他の用途とはトレードオフになるのだから。国土の適切な利用を実現するのは、我々、不動産業者の使命だと思いました。