駐車場を科学する④ リパークを例にとって

前回、書かせていただいたとおり、時間貸し駐車場のビジネススキームは嫌になるぐらいシンプルだ。

また、その根本原理も必要な必要なモノを必要な時に必要な分だけ提供するというごく当たり前のことだ。しかし、コイン式時間貸し駐車場が流行る前は、必ずしもそんな状況では無かった。

確かに時間貸し駐車場はいくらでもあったが、それは駐車場事業者が、ほかに対価の計算方式を持っていなかっただけで、到底 利便性を提供しようというような原理では無かったと思う。

公共の大規模駐車場は、そこそこあったし、そこへ行けば駐車できる、しかし、そこから目的の場所へどう行くの?という感じだった。

そう、クルマは降りてなんぼ、乗っている間は何の用事も果たせない、降りて初めて仕事なり遊びなり、目的を果たせるのだ。要は、クルマに乗っている時の利便性より、降りてからの利便性を考える必要がある。

そこで、リパークでは、駐車場をクルマ社会のインフラストレーションとして考えることにした。

車を降りて目的地まで歩いて長くて3分、1分は徒歩80メートル換算だから240メートル、240メートル×2、大雑把に見て、500メートルおきに1カ所は必要になる、と当時は考えた。

やがて、3分なんか歩きっこない、と思い知らされたが・・・(高速道路のサービスエリアで車を降りた時、たった50メートル先のトイレがなんと遠いことか、ビルの5階に用のある方は、本当は5階まで車で行きたいのだ)。

しかし、当時は、兎も角500メートル毎に1カ所設置することを目標に事業を組み立てた。そうなると今度は、入出庫の管理をどうするのか、という問題が生じる。

Aという駐車場は50台分のニーズがあるが、Bという駐車場はせいぜい5台分のニーズしかない・・・これらをどう管理したらよいのか。

人を置いて管理することは無理だ。だったら機械にやって貰え。そういえば病院の駐車場とかそんな機械を置いているところがあるじゃないか、という流れで組み立てていった。

そう、コイン式駐車場が事業として成立したのは、入出庫管理の機械技術のお蔭だ。今となったら余りにも当たり前な感じがするだろうが、駐車行動の原理とそれを成り立たせる機械技術でコイン式駐車場事業が生まれたといえるだろう。

その委細は、また次回。